2011/04/12
03:27:19
今日(というかもう昨日)の昼間のこと。
夕飯用にスーパーへ買い物に行った。
途中、小川沿いの桜並木がなかなかどうしてこれまた綺麗だったため
帰りにほとりでのんびりしてみようと決断したのだが
これが、はからずも切ない独り花見を招くこととなる。

夕飯用にスーパーへ買い物に行った。
途中、小川沿いの桜並木がなかなかどうしてこれまた綺麗だったため
帰りにほとりでのんびりしてみようと決断したのだが
これが、はからずも切ない独り花見を招くこととなる。

夕飯やらなんやら用の適当な食材に加えて、缶コーヒーとメロンパンを買った。
富良野メロンの果汁入りというやつだ。奮発した。
せっかくの満開の桜に、ヤマザキのメロンパンではいささか失礼だろうと判断してのことだ。
差額は50円ほど。でリアル果汁入り。
まあ妥当なとこだろう。
それに、まだあたたかそうだ。
ということは、さくさくなのだろう。
そこは大事だ。メロンパン的に。
興奮した。
スーパーを出、小川への帰路につく。
ところで、はたしてそのリアル果汁は、本当に富良野産メロンの味だったのかと問われると答えに窮してしまいモジモジするだろうこと十中八九ちがいないがしかし、たとえ夕張だったとて同じことだろう。
あるいは、目隠ししてヤマザキメロンパンを口に放りこまれてもわからなかったのかもしれない。
ほとりには、なんて呼ぶのかわからないが上の写真にある桟橋?みたいなものが川岸に沿って付けられていた。
とりあえず、近場から降りてみる。
少し歩くと…、行き止まり。
その先は数メートルくらい岩がいくつかあってから、また別のが続いていた。
結局、適当に真ん中辺まで引き返して、座った。
メロンパンは、やはりさくさくだった。
うむ、と思わずうなずく。
さくさくなうえに、上品な甘さを兼ね備えたリアル果汁入りメロンパンに流し込むブラックコーヒーは格別だった。
風に舞う花びらと、川面にゆれる花びらたち。
おかげでそれらもまた一段と風雅に思えた。
そこへ、おばちゃん連中が三人ほどやってきた。
「前すみませんねえ」
と、桟橋をずっと進んで行く。
「これずっと繋がってるのかしら」
そんな会話も聞こえる。
よほど「あ、すぐそこで行き止まりですよ」と言ってやりたかったのだが
もしかしたらちょうどその辺で花見をするのかもしれないではないかと思い
メロンパンのくずれた耳を袋の底から取り出すことに集中した。
「あら、ダメだわ。行き止まりよ」
と声が聞こえ、おばちゃん連中は引き返してきた。
「もう、お兄さん、ひと言いってくれたらよかったのにぃ、いやぁねえオホホホ」
「あー、てっきりちょうどその辺で……。いやすみません。ははは」
たしかに申し訳なくおもった。
しかしメロンパンの耳が…。
わかってくださいマダム。
とてもそれどころじゃなかったのです。とても。
途絶えぬ花びらのゆるやかな流れのなかに
たまにぬーっと現れる鯉などにも目をやりながら、さくさくぼろぼろ。
いつしかメロンパンの耳は尽きた。
また別のおばちゃん連中がやってきた。今度は五人だ。
この人たちもほとりを延々と散歩するつもりなのだろうか。
だとしたら、こんな大勢を行き止まりまで行かせたあげく
落胆させて引き返させることになりでもしたら……もう耐えられない!
と思い、教えてやろうと決心した。
もはやメロンパンに気をとられる必要もない、というのも大きかった。
「あのぅ、そこすぐ行き止まりになってますよ」
めずらしく、実にさわやかな笑顔で言えた…ように思う。
ふ、俺は今ひょっとしてすごぅく親切な若者でこの上なく立派な青年なんじゃないのかと悦に入るとこだったが、
「あら、私たちそこで花見をするつもりだから大丈夫よ」
「あ、そうでしたか。失礼しました」
「家がほら、目の前ですのでね。ご親切にどうもねえ」
無意識にメロンパンの袋を口に持っていったが、やはり耳の残りは喉に流れてこなかった。
桜はくすみ、ちりゆく花びらも朽ちた。
ブラックコーヒーをひと口ふくみ、その場を去った。
それは、すこし苦かった。
富良野メロンの果汁入りというやつだ。奮発した。
せっかくの満開の桜に、ヤマザキのメロンパンではいささか失礼だろうと判断してのことだ。
差額は50円ほど。でリアル果汁入り。
まあ妥当なとこだろう。
それに、まだあたたかそうだ。
ということは、さくさくなのだろう。
そこは大事だ。メロンパン的に。
興奮した。
スーパーを出、小川への帰路につく。
ところで、はたしてそのリアル果汁は、本当に富良野産メロンの味だったのかと問われると答えに窮してしまいモジモジするだろうこと十中八九ちがいないがしかし、たとえ夕張だったとて同じことだろう。
あるいは、目隠ししてヤマザキメロンパンを口に放りこまれてもわからなかったのかもしれない。
ほとりには、なんて呼ぶのかわからないが上の写真にある桟橋?みたいなものが川岸に沿って付けられていた。
とりあえず、近場から降りてみる。
少し歩くと…、行き止まり。
その先は数メートルくらい岩がいくつかあってから、また別のが続いていた。
結局、適当に真ん中辺まで引き返して、座った。
メロンパンは、やはりさくさくだった。
うむ、と思わずうなずく。
さくさくなうえに、上品な甘さを兼ね備えたリアル果汁入りメロンパンに流し込むブラックコーヒーは格別だった。
風に舞う花びらと、川面にゆれる花びらたち。
おかげでそれらもまた一段と風雅に思えた。
そこへ、おばちゃん連中が三人ほどやってきた。
「前すみませんねえ」
と、桟橋をずっと進んで行く。
「これずっと繋がってるのかしら」
そんな会話も聞こえる。
よほど「あ、すぐそこで行き止まりですよ」と言ってやりたかったのだが
もしかしたらちょうどその辺で花見をするのかもしれないではないかと思い
メロンパンのくずれた耳を袋の底から取り出すことに集中した。
「あら、ダメだわ。行き止まりよ」
と声が聞こえ、おばちゃん連中は引き返してきた。
「もう、お兄さん、ひと言いってくれたらよかったのにぃ、いやぁねえオホホホ」
「あー、てっきりちょうどその辺で……。いやすみません。ははは」
たしかに申し訳なくおもった。
しかしメロンパンの耳が…。
わかってくださいマダム。
とてもそれどころじゃなかったのです。とても。
途絶えぬ花びらのゆるやかな流れのなかに
たまにぬーっと現れる鯉などにも目をやりながら、さくさくぼろぼろ。
いつしかメロンパンの耳は尽きた。
また別のおばちゃん連中がやってきた。今度は五人だ。
この人たちもほとりを延々と散歩するつもりなのだろうか。
だとしたら、こんな大勢を行き止まりまで行かせたあげく
落胆させて引き返させることになりでもしたら……もう耐えられない!
と思い、教えてやろうと決心した。
もはやメロンパンに気をとられる必要もない、というのも大きかった。
「あのぅ、そこすぐ行き止まりになってますよ」
めずらしく、実にさわやかな笑顔で言えた…ように思う。
ふ、俺は今ひょっとしてすごぅく親切な若者でこの上なく立派な青年なんじゃないのかと悦に入るとこだったが、
「あら、私たちそこで花見をするつもりだから大丈夫よ」
「あ、そうでしたか。失礼しました」
「家がほら、目の前ですのでね。ご親切にどうもねえ」
無意識にメロンパンの袋を口に持っていったが、やはり耳の残りは喉に流れてこなかった。
桜はくすみ、ちりゆく花びらも朽ちた。
ブラックコーヒーをひと口ふくみ、その場を去った。
それは、すこし苦かった。
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