2012/09/10
09:37:03
個人的には、人類が滅んだ後には、
カラスの時代がくるのだと思っている。
人類だって爬虫類が栄えた時代は、
せいぜいネズミのような小さな、か弱き哺乳類に過ぎなかった。
すべての類には栄える時代がくるのがこの世の掟だ。
魚類に始まり、両生類、昆虫類、爬虫類、、
とその時代を支配した類は大型化された証拠が残っている。
かつて人間くらいの大きさの昆虫がいたなんて信じられるだろうか。
気持ち悪いったらありゃしない。
鳥類も大型化された時代があったが、
くしくも爬虫類のそれと重なっていたため、支配できた時代はなかった。
ここで人類が滅べばようやく、念願の、悲願の彼らの時代が来るというものだ。
鳥類のなかで脳が一番発達しているのは、
カラスだという。
というのも、ここ数百年の間
人類のゴミ捨て場にはびこっていたカラス達は
人類が発展し、食も豊かになるにつれて
廃棄される生ゴミの栄養素も豊富になって
脳が進化したためだといわれているからだが、
となると畢竟カラスが進化することになること必至だろう。
何百万年、何千万年もすれば
カラスの考古学者たちが、人間の化石をいたるところで発見するかもしれない。
そのころには最古の人類ルーシーなどの化石は
ボロボロに跡形もなく消え去っていることだから、
現代人の骨が最古の人類のものなどと解釈されるかもしれない。
もしくは、千年やそこら時代がずれていたとしても
同時代人として判別されるのかもしれない。
現に、今の時代の考古学者でも数万年前のものに関しては
すでに千年程度の誤差など屁とも思っていない。
恐竜時代にいたっては
一億年から一億五千万年の間の…云々
と謳ったりしているではないか。
五千万年の誤差っていったらとんでもない数値だ。
人類でさえ誕生してからせいぜい五百万年だというのに、
五千万年もあったら恐竜が滅びてから
ようやく類人猿が出てくるような期間である。
適当さも甚だしい。
ところで、僕は肉体なんてものは
死んだ後は、魂にとっては排泄物のようなものだと思う。
つまり、うんこだ。
世界のうんこ。そうだ、世界のうんこになろう。
大きな話じゃないか。
キミもボクも世界のうんこ。イエイ♪
結局は排泄物となんら変わらず有機分解されて自然に帰す
ってことを考えると、何もきばらず生き、死を迎えられるというものだ。
話を戻そう。
だからどう処理されたってかまわないんだけども、
どうせなら、後々の時代に化石で発見されることを考慮して
埋葬されないでおこうかと思う。
死期を感じたら犬のようにご主人のもとをそっと去るのだ。
むろん、僕にはご主人様はいないが、それに僕は男なので
いるとしたら女王様ということになるのだろうが
いたらいたで、そこには別の問題が台頭してくるので、よそう。
また…、話を戻そう。
犬といえば、
僕がまだ幼いころ捨て犬を拾って飼ったことがある。
見つけたのは兄だったが、その兄もはじめは拾わずに帰宅した。
雨が降ってきた。
やっぱかわいそうだからひろってこようということになった。
僕も一緒にいった。
段ボールのなかでくーんくーんと泣いていた。
寒そうだった。
茶色の雑種の子犬。
すぐに連れて帰った。
ジロと名付けた。
『南極物語』が少し前に流行っててそのタロとジロが由来だが
映画は観たことがなかった。
直接は『タロ、ジロは生きていた』というその伝記本のようなものを
兄弟ふたりとも読んで感銘をうけていたからだった。
当時、住んでた家は、実家の店兼住まいだったのだが
そこはペット禁止だった。
にもかかわらずしばらく飼っていたが、
さすがに大家さんに注意されて
祖父母宅に置いてもらうことになった。
ジロはかしこい犬だった。
捨て犬という生まれの悪さを感じさせない
スマートな顔立ちをしていた。
祖父がいつも散歩に連れていき、
川辺でチェーンを離して好きなだけ走り回らせたり、
時には川を泳がせたりしたあと、ひと言呼びかけるとすぐに戻ってきた。
およそ7、8年後だったろうか。
ある朝、祖父がいつものように川辺に行き、
開放してやると、ジロはそれっきり戻ってこなかった。
その時分、僕は中学生だったが、
犬というものは死期を感じたら
そっとご主人の元を離れるものだと聞いて、
以来、自分も死ぬ時はそうやって
親族や友人に迷惑かけずにこの世を去ろうと思うようになった。
というわけで、埋葬されたとしたら
しかも火葬された時点ですでにボロボロの骨になるから、
何万年も残るわけがない。
だから自然のなかに埋もれて死んで――
できれば湿地帯の泥沼に埋もれて
運良く化石となれればと思う。
やがて後世のカラス人間に発見され
彼らの博物館に納められるやもしれない。
ひょっとしたら……、
「博士、この《ニンゲン》という生物の化石の名前なんですが」
「うむ、ルーシーでいこかの」
「おそれながら、これは男のようですが」
「あ、そ。じゃルーリードだな」
「誰ですか、それ」
「知らんのか。その時代に生きていたと言われる人物だ。先日発見された二十世紀ミュージシャン名鑑に載ってたぞ」
「みゅ、ミュージシャン?」
「音楽をやる人間のことだ。気に入らなければオオシバでもいいぞ」
「へ、オオシバとは?」
「ルーだ!知らないのか?」
「それもその、ミュージッサンというやつですか」
「ミュージシャンだ。だが大柴は違う。これも先日発見された二十世紀日本タレント名鑑というものに載っていたのだ」
「ショウワの人間ってことですね」
「大柴に関しては、そうだ。ヘイセイにもまたがってるが。しかし、実際のところ、この化石がショウワの人間なのかはよくわからんのだ。恐らく太古には泥沼だったと思われるがそこに運良く(悪くかな)転落してそのまま化石になったものと考えられる。それがヘイアンなのかもしれずムロマチかもしれないし、エドの可能性もある。そのへんに今あたまを悩ませれているところだ。かたわらに我らカラスの祖先の化石でもあればよかったものを。というのも、我々の祖先はその時代には、薄汚い黒い鳥としてまるでバイキンのように扱われていたのだが、当時の人類がそのころ文明が爆発的に進化したため、食生活も我々の想像がつかないくらい贅沢だったという話だ。なんでも好きな時に好きなものを食べられるコンビニという店もあったらしいし。ラーメンなどお湯を入れるだけでできたそうだ。ハンバーガーは注文してすぐ出てくるし、余りものはどんだけ多くても名残り惜しむことなく捨てられる始末。そうやって捨てられた廃棄処分品をゴミ捨て場で漁っていたのが我々の祖先であり、その豊富な種類の食べ物による豊富な栄養素によって、その時代から如実に脳が進化したという。これはあくまでも近年のカリスマ考古学者の仮説にすぎないがね。ふふふ」
「そのカリスマ考古学者というのは、もしや…」
「むろん、私のことだよ。そんな自慢話はさせないでくれよ、きみ。ははは。さあさ、研究にとりかかろうじゃあないか」
と、発掘調査にもどろうとしたその刹那、
「ひー、博士!」
「ぬ、何事だ」
助手が指差しているその先には、
こそこそと動き回る小さな焦げ茶色の物体が。
「ほう、ゴキジンじゃないか。祖先を見舞いに来たのかのぅ」
と、博士が呑気にぼやいてるそばから。
バシッ。プチ。
助手が、自慢の黒羽の腕でもって
醜怪なゲテモノを退治したのだった。
※こんなに長くなるつもりじゃなかったけど、
長くなってきたので、、
つづく…。
(ゴキジンについては、ふと今ノリで思いつきました。
さて、どうしよう。)
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カラスの時代がくるのだと思っている。
人類だって爬虫類が栄えた時代は、
せいぜいネズミのような小さな、か弱き哺乳類に過ぎなかった。
すべての類には栄える時代がくるのがこの世の掟だ。
魚類に始まり、両生類、昆虫類、爬虫類、、
とその時代を支配した類は大型化された証拠が残っている。
かつて人間くらいの大きさの昆虫がいたなんて信じられるだろうか。
気持ち悪いったらありゃしない。
鳥類も大型化された時代があったが、
くしくも爬虫類のそれと重なっていたため、支配できた時代はなかった。
ここで人類が滅べばようやく、念願の、悲願の彼らの時代が来るというものだ。
鳥類のなかで脳が一番発達しているのは、
カラスだという。
というのも、ここ数百年の間
人類のゴミ捨て場にはびこっていたカラス達は
人類が発展し、食も豊かになるにつれて
廃棄される生ゴミの栄養素も豊富になって
脳が進化したためだといわれているからだが、
となると畢竟カラスが進化することになること必至だろう。
何百万年、何千万年もすれば
カラスの考古学者たちが、人間の化石をいたるところで発見するかもしれない。
そのころには最古の人類ルーシーなどの化石は
ボロボロに跡形もなく消え去っていることだから、
現代人の骨が最古の人類のものなどと解釈されるかもしれない。
もしくは、千年やそこら時代がずれていたとしても
同時代人として判別されるのかもしれない。
現に、今の時代の考古学者でも数万年前のものに関しては
すでに千年程度の誤差など屁とも思っていない。
恐竜時代にいたっては
一億年から一億五千万年の間の…云々
と謳ったりしているではないか。
五千万年の誤差っていったらとんでもない数値だ。
人類でさえ誕生してからせいぜい五百万年だというのに、
五千万年もあったら恐竜が滅びてから
ようやく類人猿が出てくるような期間である。
適当さも甚だしい。
ところで、僕は肉体なんてものは
死んだ後は、魂にとっては排泄物のようなものだと思う。
つまり、うんこだ。
世界のうんこ。そうだ、世界のうんこになろう。
大きな話じゃないか。
キミもボクも世界のうんこ。イエイ♪
結局は排泄物となんら変わらず有機分解されて自然に帰す
ってことを考えると、何もきばらず生き、死を迎えられるというものだ。
話を戻そう。
だからどう処理されたってかまわないんだけども、
どうせなら、後々の時代に化石で発見されることを考慮して
埋葬されないでおこうかと思う。
死期を感じたら犬のようにご主人のもとをそっと去るのだ。
むろん、僕にはご主人様はいないが、それに僕は男なので
いるとしたら女王様ということになるのだろうが
いたらいたで、そこには別の問題が台頭してくるので、よそう。
また…、話を戻そう。
犬といえば、
僕がまだ幼いころ捨て犬を拾って飼ったことがある。
見つけたのは兄だったが、その兄もはじめは拾わずに帰宅した。
雨が降ってきた。
やっぱかわいそうだからひろってこようということになった。
僕も一緒にいった。
段ボールのなかでくーんくーんと泣いていた。
寒そうだった。
茶色の雑種の子犬。
すぐに連れて帰った。
ジロと名付けた。
『南極物語』が少し前に流行っててそのタロとジロが由来だが
映画は観たことがなかった。
直接は『タロ、ジロは生きていた』というその伝記本のようなものを
兄弟ふたりとも読んで感銘をうけていたからだった。
当時、住んでた家は、実家の店兼住まいだったのだが
そこはペット禁止だった。
にもかかわらずしばらく飼っていたが、
さすがに大家さんに注意されて
祖父母宅に置いてもらうことになった。
ジロはかしこい犬だった。
捨て犬という生まれの悪さを感じさせない
スマートな顔立ちをしていた。
祖父がいつも散歩に連れていき、
川辺でチェーンを離して好きなだけ走り回らせたり、
時には川を泳がせたりしたあと、ひと言呼びかけるとすぐに戻ってきた。
およそ7、8年後だったろうか。
ある朝、祖父がいつものように川辺に行き、
開放してやると、ジロはそれっきり戻ってこなかった。
その時分、僕は中学生だったが、
犬というものは死期を感じたら
そっとご主人の元を離れるものだと聞いて、
以来、自分も死ぬ時はそうやって
親族や友人に迷惑かけずにこの世を去ろうと思うようになった。
というわけで、埋葬されたとしたら
しかも火葬された時点ですでにボロボロの骨になるから、
何万年も残るわけがない。
だから自然のなかに埋もれて死んで――
できれば湿地帯の泥沼に埋もれて
運良く化石となれればと思う。
やがて後世のカラス人間に発見され
彼らの博物館に納められるやもしれない。
ひょっとしたら……、
「博士、この《ニンゲン》という生物の化石の名前なんですが」
「うむ、ルーシーでいこかの」
「おそれながら、これは男のようですが」
「あ、そ。じゃルーリードだな」
「誰ですか、それ」
「知らんのか。その時代に生きていたと言われる人物だ。先日発見された二十世紀ミュージシャン名鑑に載ってたぞ」
「みゅ、ミュージシャン?」
「音楽をやる人間のことだ。気に入らなければオオシバでもいいぞ」
「へ、オオシバとは?」
「ルーだ!知らないのか?」
「それもその、ミュージッサンというやつですか」
「ミュージシャンだ。だが大柴は違う。これも先日発見された二十世紀日本タレント名鑑というものに載っていたのだ」
「ショウワの人間ってことですね」
「大柴に関しては、そうだ。ヘイセイにもまたがってるが。しかし、実際のところ、この化石がショウワの人間なのかはよくわからんのだ。恐らく太古には泥沼だったと思われるがそこに運良く(悪くかな)転落してそのまま化石になったものと考えられる。それがヘイアンなのかもしれずムロマチかもしれないし、エドの可能性もある。そのへんに今あたまを悩ませれているところだ。かたわらに我らカラスの祖先の化石でもあればよかったものを。というのも、我々の祖先はその時代には、薄汚い黒い鳥としてまるでバイキンのように扱われていたのだが、当時の人類がそのころ文明が爆発的に進化したため、食生活も我々の想像がつかないくらい贅沢だったという話だ。なんでも好きな時に好きなものを食べられるコンビニという店もあったらしいし。ラーメンなどお湯を入れるだけでできたそうだ。ハンバーガーは注文してすぐ出てくるし、余りものはどんだけ多くても名残り惜しむことなく捨てられる始末。そうやって捨てられた廃棄処分品をゴミ捨て場で漁っていたのが我々の祖先であり、その豊富な種類の食べ物による豊富な栄養素によって、その時代から如実に脳が進化したという。これはあくまでも近年のカリスマ考古学者の仮説にすぎないがね。ふふふ」
「そのカリスマ考古学者というのは、もしや…」
「むろん、私のことだよ。そんな自慢話はさせないでくれよ、きみ。ははは。さあさ、研究にとりかかろうじゃあないか」
と、発掘調査にもどろうとしたその刹那、
「ひー、博士!」
「ぬ、何事だ」
助手が指差しているその先には、
こそこそと動き回る小さな焦げ茶色の物体が。
「ほう、ゴキジンじゃないか。祖先を見舞いに来たのかのぅ」
と、博士が呑気にぼやいてるそばから。
バシッ。プチ。
助手が、自慢の黒羽の腕でもって
醜怪なゲテモノを退治したのだった。
※こんなに長くなるつもりじゃなかったけど、
長くなってきたので、、
つづく…。
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