2012/09/02
16:27:20
先日、ネギ塩豚カルビ丼ってのを食べた。
某牛丼チェーンのマシヤでのことだ。
写真と見た目が違って、貧相でがっかり。
味はまあまあ。
まあそれは今回の話にはどうでもよい。
ともかく僕が、ネギ塩豚カルビ丼を食べた時の話である。
(少々長ったらしいので、以下略して「ネギ塩丼」)
隣りに、牛丼並だけ注文した男が座った。
おそらく大学生か、せいぜい25くらいの青年。
即座に彼の牛丼がきた。
僕が先にネギ塩丼を注文していたのだが
やはり定番メニューは来るのが早い。
彼はおもむろに、紅ショウガの入れ物をとり、
入れた。
全部入れた。
丼の表面を埋め尽くす山盛りの紅ショウガ。
もはや肉が入ってようがなかろうが
関係ないってくらいの。
そんなら初めからライスだけ頼んで
その上に気の済むまで紅ショウガをのせれば
いいのではなかろうか青年よと言いたいくらい。
それで味が足りなければ、
バーベキューソースやらおろしポン酢やら
いろいろなソースが用意されているマシヤであるから、
それで充分のような気がしなくもない。
ライス代だけで事足りる「紅ショウガ丼」。
いい響きではないですかアナタなぜそれを実行しない?安くあがるうえにアナタの好きな紅ショウガまみれになって至福の食後を迎えることができるのですよマァそれには牛が入ってないから食後に横になったとしても牛にはなれないかもしれませんがねナニをダジャレてるんだってウムそれは否めないな確かにしかしだねアナタ…エそれでも少しは肉の名残りがないとさびしいのですよだってバカタレ何ほざいてんだかそんなの豚でも牛でも鶏でもわからんだろうネズミの肉でいいよお前なんぞそれかオーストラリアにあるらしい食用巨大ミミズの肉でも味わからんだろうそれに牛や豚に失礼じゃないか彼らは自身の命を賭してまで我々人類の糧となっているのにその味もわからなくさせるとはなんたる侮辱陵辱恥辱!人間として恥を知れ恥を。もしお前が人肉好きな宇宙人に誘拐されて食用にされたとして紅ショウガまみれにされたらどうする魂は浮かばれないだろうそうなったらお前は別に俺じゃなくてもよかったのにってか人間をわざわざ食わなくてもよかったじゃーん的な空気になるだろそう思わないか思わないなら別にいいのだけどなまあともかくお前の行為は素材の本質的価値をないがしろにしてるってことだよ存在自体を生まれる前からアプリオリに人生を否定されてるようなものだよ「われ思う故にわれ有り」なんて言ったデカルトも紅ショウガまみれにされてたら現代哲学はなかったんだわかるかわからないならイイヤともかくいくら畜生といえども彼らの本来もってる「味」ですら無くしてしまうお前っていう存在は同じ人間としてはなはだ悲しい同じ空気も吸いたくないくらいだ出てってくれよ俺はネギ塩丼を待たなきゃいけねえんだ!頼むよ俺はネギ塩丼を待ってんだ!何にもわずらわされずただネギ塩丼を、ネギ塩豚カルビ丼だけを待っていたいんだ!ネギと塩ブタのハーモニーの合間にお前を視界に入れたくないんだ!味のハーモニーを無視した畜生みたいな味覚の持ち主のお前でもこれくらいの気持ちは解ってくれるよなってか解れよじゃなきゃお前とはこれまでだアディオス早く出ていくんだなイヤ待てよそういや俺のネギ塩丼はまだ来てないからキャンセルして俺が出ていけばいいのかこの際ねえ紅ショウガマン教えてよ…云々。
…と、そんな妄想がめぐっているうちに
やがて僕のネギ塩丼がきた。
(まだ来なかったら出て行ったのに!)
さて、紅ショウガを入れたかったのだが、目の前に入れ物がない。
男が自分の目の前に、しかもカウンター内よりに置いている。
店員にアピールしているんだろう。
早く紅ショウガのおかわり入れろよ、隣りの人に面目ないだろ、と。
僕は無言の威圧をかけた。
いかにも紅ショウガを入れたがってるようにし、
少し男の丼をマジマジと眺めたり
男の目の前の空になった紅ショウガの器を
羨望の眼差しでなめるように見た。
ところで、この日僕はハンチング帽を被っていたとはいえ
すこぅしモヒカン気味の、ほんのすこぅし赤髪気味である。
これがおそらく威圧の迫力に加担してくれてたかと思われるが
しかし、三十路も半ばの男が紅ショウガがないからといってワレ何してけつかんねんつってメンチきるわけないだろう?いくら僕はそんなに育ちが良くないからといってそんな不条理な残虐行為にはおよばないさ逆にホラ仏のような穏やかな目をしてるだろう?というような表情を向けてみたが半ばひきつってひくひくしそうだったし無駄だったようだ。
彼は見向きもしない。
男はおそらく気づいているだろうが、
気づかぬふりをして黙々と紅ショウガ丼を食べている。
はあはあ興奮してそうだ。
はぅあ~、なんて美味いんだ紅ショウガって、
アァ紅ショウガに埋もれて死にたい。
そんな気分なのだろう。
そんなに好きなら、後ろから頭を押し倒して
その紅ショウガ丼に顔を埋めてやるよと思ったが、よした。
と、その時、青年はこちらをチラ見した。
しかしやはり目は合わなかった。
と思ったら僕の首あたりに視線がいっている様子。
これは、もしや――
うぅ、この人の髪は…、なんて魅力的な紅ショウガ色をしてるんだ!アァかけたい、この赤く染まった牛丼にさらにこの人の髪の毛を切り取って、ふりかけたい!などとでも思ってるのだろうか。ほざけ。ボケなすかぼちゃ。
しかし、そうなったらどうなるだろう、僕の存在価値は。
髪の毛をつるっつるに刈り取られ、身ぐるみ剥がされた僕は
自分の存在すらわからずふるえる三十五の夜、
盗んだバイクで走り出したり、夜の校舎窓ガラス壊してまわりかねない。
もうよそう。
こんな変態フェチにつきあってる暇はない。
ネギ塩丼が冷める。
そう思い直し、食に徹することにした。
そんなわけで僕はしかたなく別の左側(男は右にいた)
にある少し離れた紅ショウガに手をのばし、
左隣の人にスミマセンと言いながら器を引き寄せ、
ひとつまみの紅ショウガを丼にいれた。
ぴりりとさりげなく口腔にひろがるかすかな刺激。
これだ、これくらいの脇役感が食欲をそそるというものだよ紅ショウガマン、わかるかね?
と言ってやりたかったが、よした。
紅ショウガマンは、食べ終えるとすぐ立ち去った。
やはり視線は僕の後頭部あたりに一瞬いったような気がしたが
本当のところはわからない。
明日、青年のウンコは赤いだろう。
そう思いながら見送った。
…つもりだったが、
いや待てよ、彼が毎日のようにあれだけの紅ショウガを食していたならば
もうすでに彼の胃腸の食紅分解能力は人智の理解を超越していて
何事もなかったように用を足し
純粋な色のブツを排泄するのかもしれない。
ひょっとすると、そんなことを考えながら
ネギ塩豚カルビ丼とやらを食べたものだから
あまり上手く感じなかったのかもしれない。
と、今では思う。
※最後あたり、食事中の人すみません。
ではまた。
某牛丼チェーンのマシヤでのことだ。
写真と見た目が違って、貧相でがっかり。
味はまあまあ。
まあそれは今回の話にはどうでもよい。
ともかく僕が、ネギ塩豚カルビ丼を食べた時の話である。
(少々長ったらしいので、以下略して「ネギ塩丼」)
隣りに、牛丼並だけ注文した男が座った。
おそらく大学生か、せいぜい25くらいの青年。
即座に彼の牛丼がきた。
僕が先にネギ塩丼を注文していたのだが
やはり定番メニューは来るのが早い。
彼はおもむろに、紅ショウガの入れ物をとり、
入れた。
全部入れた。
丼の表面を埋め尽くす山盛りの紅ショウガ。
もはや肉が入ってようがなかろうが
関係ないってくらいの。
そんなら初めからライスだけ頼んで
その上に気の済むまで紅ショウガをのせれば
いいのではなかろうか青年よと言いたいくらい。
それで味が足りなければ、
バーベキューソースやらおろしポン酢やら
いろいろなソースが用意されているマシヤであるから、
それで充分のような気がしなくもない。
ライス代だけで事足りる「紅ショウガ丼」。
いい響きではないですかアナタなぜそれを実行しない?安くあがるうえにアナタの好きな紅ショウガまみれになって至福の食後を迎えることができるのですよマァそれには牛が入ってないから食後に横になったとしても牛にはなれないかもしれませんがねナニをダジャレてるんだってウムそれは否めないな確かにしかしだねアナタ…エそれでも少しは肉の名残りがないとさびしいのですよだってバカタレ何ほざいてんだかそんなの豚でも牛でも鶏でもわからんだろうネズミの肉でいいよお前なんぞそれかオーストラリアにあるらしい食用巨大ミミズの肉でも味わからんだろうそれに牛や豚に失礼じゃないか彼らは自身の命を賭してまで我々人類の糧となっているのにその味もわからなくさせるとはなんたる侮辱陵辱恥辱!人間として恥を知れ恥を。もしお前が人肉好きな宇宙人に誘拐されて食用にされたとして紅ショウガまみれにされたらどうする魂は浮かばれないだろうそうなったらお前は別に俺じゃなくてもよかったのにってか人間をわざわざ食わなくてもよかったじゃーん的な空気になるだろそう思わないか思わないなら別にいいのだけどなまあともかくお前の行為は素材の本質的価値をないがしろにしてるってことだよ存在自体を生まれる前からアプリオリに人生を否定されてるようなものだよ「われ思う故にわれ有り」なんて言ったデカルトも紅ショウガまみれにされてたら現代哲学はなかったんだわかるかわからないならイイヤともかくいくら畜生といえども彼らの本来もってる「味」ですら無くしてしまうお前っていう存在は同じ人間としてはなはだ悲しい同じ空気も吸いたくないくらいだ出てってくれよ俺はネギ塩丼を待たなきゃいけねえんだ!頼むよ俺はネギ塩丼を待ってんだ!何にもわずらわされずただネギ塩丼を、ネギ塩豚カルビ丼だけを待っていたいんだ!ネギと塩ブタのハーモニーの合間にお前を視界に入れたくないんだ!味のハーモニーを無視した畜生みたいな味覚の持ち主のお前でもこれくらいの気持ちは解ってくれるよなってか解れよじゃなきゃお前とはこれまでだアディオス早く出ていくんだなイヤ待てよそういや俺のネギ塩丼はまだ来てないからキャンセルして俺が出ていけばいいのかこの際ねえ紅ショウガマン教えてよ…云々。
…と、そんな妄想がめぐっているうちに
やがて僕のネギ塩丼がきた。
(まだ来なかったら出て行ったのに!)
さて、紅ショウガを入れたかったのだが、目の前に入れ物がない。
男が自分の目の前に、しかもカウンター内よりに置いている。
店員にアピールしているんだろう。
早く紅ショウガのおかわり入れろよ、隣りの人に面目ないだろ、と。
僕は無言の威圧をかけた。
いかにも紅ショウガを入れたがってるようにし、
少し男の丼をマジマジと眺めたり
男の目の前の空になった紅ショウガの器を
羨望の眼差しでなめるように見た。
ところで、この日僕はハンチング帽を被っていたとはいえ
すこぅしモヒカン気味の、ほんのすこぅし赤髪気味である。
これがおそらく威圧の迫力に加担してくれてたかと思われるが
しかし、三十路も半ばの男が紅ショウガがないからといってワレ何してけつかんねんつってメンチきるわけないだろう?いくら僕はそんなに育ちが良くないからといってそんな不条理な残虐行為にはおよばないさ逆にホラ仏のような穏やかな目をしてるだろう?というような表情を向けてみたが半ばひきつってひくひくしそうだったし無駄だったようだ。
彼は見向きもしない。
男はおそらく気づいているだろうが、
気づかぬふりをして黙々と紅ショウガ丼を食べている。
はあはあ興奮してそうだ。
はぅあ~、なんて美味いんだ紅ショウガって、
アァ紅ショウガに埋もれて死にたい。
そんな気分なのだろう。
そんなに好きなら、後ろから頭を押し倒して
その紅ショウガ丼に顔を埋めてやるよと思ったが、よした。
と、その時、青年はこちらをチラ見した。
しかしやはり目は合わなかった。
と思ったら僕の首あたりに視線がいっている様子。
これは、もしや――
うぅ、この人の髪は…、なんて魅力的な紅ショウガ色をしてるんだ!アァかけたい、この赤く染まった牛丼にさらにこの人の髪の毛を切り取って、ふりかけたい!などとでも思ってるのだろうか。ほざけ。ボケなすかぼちゃ。
しかし、そうなったらどうなるだろう、僕の存在価値は。
髪の毛をつるっつるに刈り取られ、身ぐるみ剥がされた僕は
自分の存在すらわからずふるえる三十五の夜、
盗んだバイクで走り出したり、夜の校舎窓ガラス壊してまわりかねない。
もうよそう。
こんな変態フェチにつきあってる暇はない。
ネギ塩丼が冷める。
そう思い直し、食に徹することにした。
そんなわけで僕はしかたなく別の左側(男は右にいた)
にある少し離れた紅ショウガに手をのばし、
左隣の人にスミマセンと言いながら器を引き寄せ、
ひとつまみの紅ショウガを丼にいれた。
ぴりりとさりげなく口腔にひろがるかすかな刺激。
これだ、これくらいの脇役感が食欲をそそるというものだよ紅ショウガマン、わかるかね?
と言ってやりたかったが、よした。
紅ショウガマンは、食べ終えるとすぐ立ち去った。
やはり視線は僕の後頭部あたりに一瞬いったような気がしたが
本当のところはわからない。
明日、青年のウンコは赤いだろう。
そう思いながら見送った。
…つもりだったが、
いや待てよ、彼が毎日のようにあれだけの紅ショウガを食していたならば
もうすでに彼の胃腸の食紅分解能力は人智の理解を超越していて
何事もなかったように用を足し
純粋な色のブツを排泄するのかもしれない。
ひょっとすると、そんなことを考えながら
ネギ塩豚カルビ丼とやらを食べたものだから
あまり上手く感じなかったのかもしれない。
と、今では思う。
※最後あたり、食事中の人すみません。
ではまた。
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コメント
私も昔は赤かった♪
紅しょうがタップリは好きだけど、
元の味が消える程は…なぁ。
昔の同級生にマジで深夜に校舎の窓硝子割った奴いるが…
奴は決して不良くんタイプでも、不思議くんタイプでもない。
何故そんな事を!?
きっと似たようなエピソードがあったのか!?
ちなみに…奴はイケメンの類。
元の味が消える程は…なぁ。
昔の同級生にマジで深夜に校舎の窓硝子割った奴いるが…
奴は決して不良くんタイプでも、不思議くんタイプでもない。
何故そんな事を!?
きっと似たようなエピソードがあったのか!?
ちなみに…奴はイケメンの類。
Coo│URL│2012/09/02(Sun)22:39:34│
編集
Re: タイトルなし
> 某ガンダム(笑)のパロディー4コマにありましたよ
> 紅生姜を大量に乗せて並を量増しするネタwww
そんなのあったのねw
> あ。ちなみにイカ墨食べて
> 次の日血便だと思って焦ったお医者さんがいます(笑)
wwww
黒い便は、何かと病気の兆候らしいですからね
その人、まじめな医者であろうことは間違いない。
> 紅生姜を大量に乗せて並を量増しするネタwww
そんなのあったのねw
> あ。ちなみにイカ墨食べて
> 次の日血便だと思って焦ったお医者さんがいます(笑)
wwww
黒い便は、何かと病気の兆候らしいですからね
その人、まじめな医者であろうことは間違いない。
寺澤晋吾│URL│2012/09/03(Mon)21:17:04│
編集
Re: 私も昔は赤かった♪
> 昔の同級生にマジで深夜に校舎の窓硝子割った奴いるが…
> 奴は決して不良くんタイプでも、不思議くんタイプでもない。
> 何故そんな事を!?
熱烈な尾崎豊ファンだったのだと思います。
> 奴は決して不良くんタイプでも、不思議くんタイプでもない。
> 何故そんな事を!?
熱烈な尾崎豊ファンだったのだと思います。
寺澤晋吾│URL│2012/09/03(Mon)21:18:09│
編集
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紅生姜を大量に乗せて並を量増しするネタwww
でもその青年・・・
『赤フェチ』なんじゃ・・・
髪を見つめるその視線。。。
寺澤さん気をつけてくださいね
襲ワレナイ様ニ..・ヘ(。≧O≦)ノ ニゲロー!!
あ。ちなみにイカ墨食べて
次の日血便だと思って焦ったお医者さんがいます(笑)