2012/08/26
07:55:48
マンションの廊下に蝉が迷い込んでいた。
アブラゼミだった。
じっとしていた。
僕が近くを通ると、蝉はギョッとしたらしく(びっくりしたのはこっちのほうだ)
そんな鳴き声を出してにわかに飛び立った。
かと思うと壁にぶつかって落ち、地面に伏した。
ジタバタしている。
動きは鈍かった。
このままだと蝉は冷たいコンクリートの上で生涯を終えることになるかもしれない。
しょうがないな、と思い
つまみあげようとした。
蝉はもがいた。
またギョッギョッと言ったりギーギーという何か金属じみた
プレデターかエイリアンの怪物が出しそうな声をあげている。
ただでさえ昆虫をつかむ行為は気持ちよろしいことでない上にアブラゼミは茶色くてゴキブリサイズだから尚更かんばしいことでないのであるからそこへきてキミそんな奇声をあげるでない、と思いながらもなんとかつまみあげ、
外の樹木のしげる方面へふわりと解き放ってあげた。
蝉は勢いよく飛び立った。
ギョッギョッ言いながら。
しずくが数滴たれたような気がした。
喜びのあまり、おもらしでもしたのだろうか。
それが小便であるにしろ、なにがしかの感情の高まりがあったに違いない。
蝉は涙腺がないだろうから、代わりに小便で喜びや悲しみを表現するのかもしれない。
などと都合よくまとめてみる。
生物学界の新しい学説となるかもしれない。
なわけないか。
日曜の早朝、コーヒーを横に、
サティ『ノクチュルヌ』を聴きながらこれを書いているものだから
なかなか不思議な感覚で、突飛な考えも浮かぶのかもしれない。
ところで、この蝉。
得体のしれない何者かが自分を助けようとしてくれてるのに
それと解らず、もがいてしまっている。
自分の元いた場所に戻してくれようとしているのに
さらなる苦難が起きるものと思って、もがいてなんとか逃れようとしている。
人間も同じようなものかなと思う。
いわゆる神と呼ばれるような何か偉大な存在が
人間をより良い方向に導こうとして、彼をひっつかんで持っていこうとするんだけれども
一見それは苦しい環境になったように感じてしまうのだと思う。
その先には、より明るい未来が待っているのに。
もしくは、本来自分のいる場所に運んでくれようとしているのに。
先日、ミュージシャンの先輩との会話で、こんなことを聞いた。
「ウチでは熱帯魚を買ってるんだけど、水槽の掃除をしようとガラスをスポンジで拭こうとすると魚たちがワーッ!と逃げちゃうんだ。
さびしいよね。君たちのためなのに…。
それを見たときに、あ、と思ったんだよね。
一見、災難や不幸が訪れたと思うような衝撃や出来事が起きた時に
慌てふためいたりもがいたりするか、
自分がより良い環境で生きていくための作用(水がキレイになるための作用)だと気がつけるか。
人に訪れるいろいろな出来事がその裏に別の意味があることを信じて生きていく自信を持たなければ損だなと気がついた」と。
なるほどな、と感銘を受けた。
しかし残念ながらおもらしは、しなかった。
したらヤバい。問題だ。
おもらしするか、しないか。それが問題だ。(ハムレット風に)
いや、それはどうでもよいのです。
ともかく、そんなことを
今朝の蝉によってまた思い出した次第です。
僕も今後なにか苦難が訪れたとしても
どんと構え、より良き環境へと移行したら
はじめてそこで、おもらししようと思います。
蝉と違って僕は人間ですから
パンパース用意しとこうかと思います。
備えあれば憂いなし。
ではまた。
『七日目の蝉』

============
追記:
その後しばらくして、コンビニに行こうと部屋を出たところ、
今度はマンション前でまたじっとした蝉がいた。

今回は、そばを通っても動くかなかった。
つついてみても動かなかった。
さっきのと同じ蝉なのかは、わからない。
こんなタイル張りの上に放置しておくのも心許ないので
近くの樹にすがらせてやった。
今度はもがくことはなかった。
アブラゼミだった。
じっとしていた。
僕が近くを通ると、蝉はギョッとしたらしく(びっくりしたのはこっちのほうだ)
そんな鳴き声を出してにわかに飛び立った。
かと思うと壁にぶつかって落ち、地面に伏した。
ジタバタしている。
動きは鈍かった。
このままだと蝉は冷たいコンクリートの上で生涯を終えることになるかもしれない。
しょうがないな、と思い
つまみあげようとした。
蝉はもがいた。
またギョッギョッと言ったりギーギーという何か金属じみた
プレデターかエイリアンの怪物が出しそうな声をあげている。
ただでさえ昆虫をつかむ行為は気持ちよろしいことでない上にアブラゼミは茶色くてゴキブリサイズだから尚更かんばしいことでないのであるからそこへきてキミそんな奇声をあげるでない、と思いながらもなんとかつまみあげ、
外の樹木のしげる方面へふわりと解き放ってあげた。
蝉は勢いよく飛び立った。
ギョッギョッ言いながら。
しずくが数滴たれたような気がした。
喜びのあまり、おもらしでもしたのだろうか。
それが小便であるにしろ、なにがしかの感情の高まりがあったに違いない。
蝉は涙腺がないだろうから、代わりに小便で喜びや悲しみを表現するのかもしれない。
などと都合よくまとめてみる。
生物学界の新しい学説となるかもしれない。
なわけないか。
日曜の早朝、コーヒーを横に、
サティ『ノクチュルヌ』を聴きながらこれを書いているものだから
なかなか不思議な感覚で、突飛な考えも浮かぶのかもしれない。
ところで、この蝉。
得体のしれない何者かが自分を助けようとしてくれてるのに
それと解らず、もがいてしまっている。
自分の元いた場所に戻してくれようとしているのに
さらなる苦難が起きるものと思って、もがいてなんとか逃れようとしている。
人間も同じようなものかなと思う。
いわゆる神と呼ばれるような何か偉大な存在が
人間をより良い方向に導こうとして、彼をひっつかんで持っていこうとするんだけれども
一見それは苦しい環境になったように感じてしまうのだと思う。
その先には、より明るい未来が待っているのに。
もしくは、本来自分のいる場所に運んでくれようとしているのに。
先日、ミュージシャンの先輩との会話で、こんなことを聞いた。
「ウチでは熱帯魚を買ってるんだけど、水槽の掃除をしようとガラスをスポンジで拭こうとすると魚たちがワーッ!と逃げちゃうんだ。
さびしいよね。君たちのためなのに…。
それを見たときに、あ、と思ったんだよね。
一見、災難や不幸が訪れたと思うような衝撃や出来事が起きた時に
慌てふためいたりもがいたりするか、
自分がより良い環境で生きていくための作用(水がキレイになるための作用)だと気がつけるか。
人に訪れるいろいろな出来事がその裏に別の意味があることを信じて生きていく自信を持たなければ損だなと気がついた」と。
なるほどな、と感銘を受けた。
しかし残念ながらおもらしは、しなかった。
したらヤバい。問題だ。
おもらしするか、しないか。それが問題だ。(ハムレット風に)
いや、それはどうでもよいのです。
ともかく、そんなことを
今朝の蝉によってまた思い出した次第です。
僕も今後なにか苦難が訪れたとしても
どんと構え、より良き環境へと移行したら
はじめてそこで、おもらししようと思います。
蝉と違って僕は人間ですから
パンパース用意しとこうかと思います。
備えあれば憂いなし。
ではまた。
『七日目の蝉』

============
追記:
その後しばらくして、コンビニに行こうと部屋を出たところ、
今度はマンション前でまたじっとした蝉がいた。

今回は、そばを通っても動くかなかった。
つついてみても動かなかった。
さっきのと同じ蝉なのかは、わからない。
こんなタイル張りの上に放置しておくのも心許ないので
近くの樹にすがらせてやった。
今度はもがくことはなかった。
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コメント
三十路半ばまで生きてきて
結構色々あったので
消えたくなる程
しんどかった事も今となっては
人生の糧だなぁ~と
笑って話せる様になってきました。
まあまだまだ小さな事で
イラっとしてしまう
未熟者ですが・・・
蝉ちゃん・・・今朝時限爆弾化してまして
散歩からダッシュで逃げました(笑)
顔が正確に書けてしまう程
子どもの頃から苦手で怖いんですよね・・・
写真見て一瞬PC閉じました(爆)
結構色々あったので
消えたくなる程
しんどかった事も今となっては
人生の糧だなぁ~と
笑って話せる様になってきました。
まあまだまだ小さな事で
イラっとしてしまう
未熟者ですが・・・
蝉ちゃん・・・今朝時限爆弾化してまして
散歩からダッシュで逃げました(笑)
顔が正確に書けてしまう程
子どもの頃から苦手で怖いんですよね・・・
写真見て一瞬PC閉じました(爆)
Re: この時期は…
> そんな蝉を見ると
> 『頑張ったね~、お疲れ様~…』
> などと思う様になった(^_^;)
> ただ、私は爬虫類は触れても昆虫は触れないので…放置ですが。
思うだけでも偉いことだと思いますw
> まぁ、過ぎてみないとわからない事はたくさんありますよね。
わからないからこそ人生面白いのかもしれません。
> 『頑張ったね~、お疲れ様~…』
> などと思う様になった(^_^;)
> ただ、私は爬虫類は触れても昆虫は触れないので…放置ですが。
思うだけでも偉いことだと思いますw
> まぁ、過ぎてみないとわからない事はたくさんありますよね。
わからないからこそ人生面白いのかもしれません。
寺澤晋吾│URL│2012/08/28(Tue)04:09:49│
編集
Re: タイトルなし
> 三十路半ばまで生きてきて 結構色々あったので
> 消えたくなる程 しんどかった事も今となっては
> 人生の糧だなぁ~と 笑って話せる様になってきました。
『時代』の歌詞のような、、w
ま、ともかく失敗事や苦難は、後に笑顔が咲くための種まきのようなものと最近は思ってます。
>
> 顔が正確に書けてしまう程
> 子どもの頃から苦手で怖いんですよね・・・
正確に描けてしまうほど、マジマジながめたことがあるってことですか?
だとしたら、本当は好きなのでしょうw
> 消えたくなる程 しんどかった事も今となっては
> 人生の糧だなぁ~と 笑って話せる様になってきました。
『時代』の歌詞のような、、w
ま、ともかく失敗事や苦難は、後に笑顔が咲くための種まきのようなものと最近は思ってます。
>
> 顔が正確に書けてしまう程
> 子どもの頃から苦手で怖いんですよね・・・
正確に描けてしまうほど、マジマジながめたことがあるってことですか?
だとしたら、本当は好きなのでしょうw
寺澤晋吾│URL│2012/08/28(Tue)04:17:38│
編集
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前の蝉のを読んでから、
そんな蝉を見ると
『頑張ったね~、お疲れ様~…』
などと思う様になった(^_^;)
ただ、私は爬虫類は触れても昆虫は触れないので…放置ですが。
まぁ、過ぎてみないとわからない事はたくさんありますよね。
過ぎても気付けない人間にならないようにしないとな…。