2011/12/23
17:17:09
先日、バンドのツアーで大阪のホテルにチェックインした時のこと。
はじめに、自分は乾燥が嫌いである。非常に嫌いなのです。
肌がつっぱってきて思わず変な表情したくなるし、喉カラっからでイガイガするし、元々鼻炎持ちの鼻がカパカパになって詰まってどうしようもないわで、自然とご機嫌ななめになってしかたない。
だから冬場の自宅では、つねに蒸し蒸しマックスにしているのだけど、これはこれで大量の結露を招くのでどうしたものかと長年苦心惨憺しているところです。
とまあそんなところでともかく部屋に着き、加湿器を頼もうとフロントに電話すると、
「はい、2台だけなんですが、ございますよ」
「よかった。別料金になりますか?」
「いえ、無料でございます。隣接する駐車場に2台設置してありますので、どうぞご自由にご利用なさってください」
「わかりました。ありがとうございます」
と答えたものの、どうもおかしい。なんか変だ。
そもそもこんな十数階もあるホテルで加湿器が2台だけとはどういうことだ。
まあそれは何歩でもゆずって本当に2台しかないとしよう、しかしふつうなら、かしこまりました、ただいまお部屋にお持ちいたします。とさわやかに答えてくれるものではないか。いや、ここはそういうシステムがまかり通っていてしかも大阪のこの界隈では、セルフサービスが当たり前なのかもしれない。自分でやるさかい宿泊代負けといてやーとゆう人が多すぎたため、加湿器を借りるのですら自分で取りにこさせる習慣が暗黙の了解となっているのかもしれない…云々と、きつねにつままれた思いで、おそるおそる聞いてみた。
「あのぅ、部屋に持ってきていただけたり…とかは可能ですか」
本心では、持って来てくれるのが当たり前だろうこのバカたれ使えないホテルマンだと憤慨しながらも努めて下手にでたのだ。にもかかわらず、
「いえ、それは…」
と言葉に困っている様子。
そうか、やっぱセルフなのだな!
すべて自分で、の前提のもと安くしてるのをアンタわからへんのかいと言いたいのだな畜生なんて街だ。
と自分は心のなかで若干いななき、絶望した。悲しみよ、こんにちは。
自分は言葉も出ず、もんもんとしていると、
ホテルマンは続けた。
「見ていただければわかりますが、当ホテルの乾燥機は大きなサイズとなっておりますので、通常お客様のお部屋にお届けするのは…、大変申し訳ないですがご遠慮いただいております」
か・ん・そ・う・き?
「え、え、あれ?? ぼく加湿器って言いませんでした?」
「いえ…、その、乾燥機とおっしゃられたものでしたから…」
あごが外れそうだった。乾燥機ならもっともだ。
あんなもの部屋に持って来てと言う人間など、とち狂ってると思われたに違いない。
と、思うとホテルマンの対応は至極もっともなお手本のようなものだったのだ。
しかも乾燥機を部屋に持ってこさそうとする傲慢この上ない客にも懇切丁寧に応えてくれていた。
電話口から菩薩が見えるようだった。
「すみません、加湿器と言いたかったのです」
「さようでございましたか。加湿器でしたら、たくさんご用意しておりますので、もちろんお部屋にお持ちいたしますよ」
これだ、これですよ! はじめから聞きたかった返事は。
しかし過失はまるっきり自分にあったのだと思うと独り赤面した。
ホテルマンが届けに来てくれたときも、あるいは赤面しながら出たかもしれないが
自分の髪は赤モヒカンだったからその点ばれなかったかもしれない。
いや、それはむしろバレてよかったのにな。申し訳ない気持ちが伝わればよかったから。
逆に、ホテルマンはこう思ったかもしれない――。
こんなパンクな髪型の人間なら本気で乾燥機を部屋に持ってこさせようとしたに違いない、でもそれを断られたものだから加湿器って言いたかったのですなどと弁明したってのが関の山だ、こちらがさわやかに対応しているからといってヌケヌケとっ、これだからバンドマンは…云々と。
そう思われていたらどうしよう、とやはりまたもんもんと落ち着かなくなり
少しばかりの悔しさを残しながら加湿器の電源を入れた。
目標達成への道は、長く険しい。
と改めて身にしみた夜、
そんな苦労を経ての湿度の高まりは
心地よかった。
ではまた。
肌がつっぱってきて思わず変な表情したくなるし、喉カラっからでイガイガするし、元々鼻炎持ちの鼻がカパカパになって詰まってどうしようもないわで、自然とご機嫌ななめになってしかたない。
だから冬場の自宅では、つねに蒸し蒸しマックスにしているのだけど、これはこれで大量の結露を招くのでどうしたものかと長年苦心惨憺しているところです。
とまあそんなところでともかく部屋に着き、加湿器を頼もうとフロントに電話すると、
「はい、2台だけなんですが、ございますよ」
「よかった。別料金になりますか?」
「いえ、無料でございます。隣接する駐車場に2台設置してありますので、どうぞご自由にご利用なさってください」
「わかりました。ありがとうございます」
と答えたものの、どうもおかしい。なんか変だ。
そもそもこんな十数階もあるホテルで加湿器が2台だけとはどういうことだ。
まあそれは何歩でもゆずって本当に2台しかないとしよう、しかしふつうなら、かしこまりました、ただいまお部屋にお持ちいたします。とさわやかに答えてくれるものではないか。いや、ここはそういうシステムがまかり通っていてしかも大阪のこの界隈では、セルフサービスが当たり前なのかもしれない。自分でやるさかい宿泊代負けといてやーとゆう人が多すぎたため、加湿器を借りるのですら自分で取りにこさせる習慣が暗黙の了解となっているのかもしれない…云々と、きつねにつままれた思いで、おそるおそる聞いてみた。
「あのぅ、部屋に持ってきていただけたり…とかは可能ですか」
本心では、持って来てくれるのが当たり前だろうこのバカたれ使えないホテルマンだと憤慨しながらも努めて下手にでたのだ。にもかかわらず、
「いえ、それは…」
と言葉に困っている様子。
そうか、やっぱセルフなのだな!
すべて自分で、の前提のもと安くしてるのをアンタわからへんのかいと言いたいのだな畜生なんて街だ。
と自分は心のなかで若干いななき、絶望した。悲しみよ、こんにちは。
自分は言葉も出ず、もんもんとしていると、
ホテルマンは続けた。
「見ていただければわかりますが、当ホテルの乾燥機は大きなサイズとなっておりますので、通常お客様のお部屋にお届けするのは…、大変申し訳ないですがご遠慮いただいております」
か・ん・そ・う・き?
「え、え、あれ?? ぼく加湿器って言いませんでした?」
「いえ…、その、乾燥機とおっしゃられたものでしたから…」
あごが外れそうだった。乾燥機ならもっともだ。
あんなもの部屋に持って来てと言う人間など、とち狂ってると思われたに違いない。
と、思うとホテルマンの対応は至極もっともなお手本のようなものだったのだ。
しかも乾燥機を部屋に持ってこさそうとする傲慢この上ない客にも懇切丁寧に応えてくれていた。
電話口から菩薩が見えるようだった。
「すみません、加湿器と言いたかったのです」
「さようでございましたか。加湿器でしたら、たくさんご用意しておりますので、もちろんお部屋にお持ちいたしますよ」
これだ、これですよ! はじめから聞きたかった返事は。
しかし過失はまるっきり自分にあったのだと思うと独り赤面した。
ホテルマンが届けに来てくれたときも、あるいは赤面しながら出たかもしれないが
自分の髪は赤モヒカンだったからその点ばれなかったかもしれない。
いや、それはむしろバレてよかったのにな。申し訳ない気持ちが伝わればよかったから。
逆に、ホテルマンはこう思ったかもしれない――。
こんなパンクな髪型の人間なら本気で乾燥機を部屋に持ってこさせようとしたに違いない、でもそれを断られたものだから加湿器って言いたかったのですなどと弁明したってのが関の山だ、こちらがさわやかに対応しているからといってヌケヌケとっ、これだからバンドマンは…云々と。
そう思われていたらどうしよう、とやはりまたもんもんと落ち着かなくなり
少しばかりの悔しさを残しながら加湿器の電源を入れた。
目標達成への道は、長く険しい。
と改めて身にしみた夜、
そんな苦労を経ての湿度の高まりは
心地よかった。
ではまた。
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乾燥機持って行く人いる?(笑)