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SHINGO 5° TERASAWA blog
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2018/03/07
19:53:52
2月末。
数年前よりプライベートスタジオだかアトリエのように過ごさせていただいた某赤坂の雑居ビルの一室を、ビル側の諸事情により泣く泣くあとした。
画像はその部屋にて、最後に記念撮影^ ^



といっても別フロアの少し小さい部屋に移ったのでまだ同じビルにはいるけれども。
しかしそこも4月末まで。

かの部屋は20畳ほどもあって大きな絵も楽々描けた。
遠目から構図バランスや色合いも判断できた。
都内のマンション暮らしではなかなかできることではない。とても有難かった。
また最上階にある一部屋なので隣りも気にせず、下はオーナーさん家族の住まいだったが自分がここに来るころから別宅へ隠居されて誰も居らず、音楽作業する際には音を思う存分出すことができた。アコギや歌の練習も。
外に漏れても繁華街の騒音や隣り近所のビルの空調などでうるさいのでおそらく誰も気にならない。
まさに秘密基地であった。

変な奴ならいろいろ悪~いことできちゃうなあ、みたいな。
悪い大人なら女の子連れ込んでチョメチョメしちゃうんだろうなあ、みたいな。
(チョメチョメなんて使ったのいつぶりだろう 笑)
あいにくボクは良い大人なので、自分磨きの場としてフル活用させてもらいましたんです。

さて、
たまに屋上に出て赤坂の街を眺める。
BIZタワーやTBSビルが夕日をさえぎるが、一部漏れた斜陽が古びたこのビルを染める。
築そろそろ50年近くになる。
ところどころヒビ割れも見られる。
ここで大きな絵の撮影もした。
昼間の日光加減がちょうどいいのだ。
喧騒から逃れ、街を見下ろしているとまるで天守閣から街を眺望するお殿様かカリン塔のカリン様のような気分になる。
(あくまで「見おろして」いるのである。間違っても「見くだして」いるわけではありませんよ)
いつかタワーマンションなどに住むことになったらこういう感じだろうか。

夜には酔っ払い同士の喧嘩や警察と言い争う声や、男女の痴話喧嘩の内容まで吸い上げられるようにして上まで突き抜けてきて、けっこう聞こえたものだ。
ここで過ごした約5年半、都心にありながらまるで精神と時の部屋のように静かな空間でじっくりと内面を見つめることができ、とても充実した時間だった。

よくも悪くも落ち着いた人間になった。
(と言いながらこないだ泥酔していろいろ失くしたけれども(笑)詳細はこれの前の記事を参照。ま、シラフの時はということで。)
何事もあせらず俯瞰というか鳥瞰といったほうが近いのか、大空を優雅にただよう鳥のようにすごく高いところから落ち着いて物事を見られるようになった。
読書量も増え、いろんな分野の知識を吸収することができた。
自分のなかの芸術性が昂まっていくのを感じた。
人生で一番密度の濃い成長度合いだと思う。(ギターオタクだった高校の頃も濃かったが)
審美眼もずいぶん磨かれたと思う。

おかげで楽に生きられるようになった。
というのも、昔はよくわからないものでも、自分が未熟なだけだとりあえず読破しよう(/全部観よう/最後まで聴こう)そうしたら良さがわかるはずだ、もしくは後々の肥やしになるはずだ、なんて思ってなんでもかんでも吸収しようとしていたが、今では一瞬読んだり観たり聴いたりしただけで、その作家(/演奏家/画家)の癖だとか、言葉の(/一音の/ひと筆の)重みや深みがすっと入ってきてすぐ判断できるようになり、直感が反応しないものに関しては即スルーことができるようになったので。

これはとてもいい傾向で、おそらく心に間というか余白というかそんなものができたのでしょう。
充実した空洞。
(失恋の際にあく心の穴とは真逆のたぐいの)

人間の内面も許容量があるみたいで、たまには心の断捨離も必要なようである。
それで空いたスペースには新鮮な今後に役立つ何かが流入してくるのでしょう。
自分からガツガツ貪って取り込もうとせずとも、つねづね内面に間(ま)をつくっておけば、必要なものが向こうから自然と舞い込んで来るのでしょう。
おそらく日々瞑想に近い状態で過ごしていたものだから、顕在意識と潜在意識との境がより近く、うまい具合に曖昧に、なったのだと思う。
魂に近づいたとでも言うと語弊があるかもしれないが、たぶんそういうものだ。
心の深いところ。純粋な何か。

とか書いておきながら一年か数年後読み返したら、何を達観ぶってやがる青二才が、と思うことでしょう。
常にそういうことの繰り返しだ。
作品にしてもその当時は最高のものができたなんて思ってても後で聞き返したり観かえしたりすると、なんであんなに得意になってやがったんだと恥じ入ったことが何度もある。
さて、音楽に関しては審美耳?まあともかくゆったりとした気分でいるから、聴くのも演奏するのも自然とアンビエントミュージック寄りになっている。
歌う場合はしっとりとしたフォーク系が多くなった。
怒りの感情というものも無くなったおかげで自分のなかからロックが生まれなくなった。
自分のバンドが4年近く前に活動をいったん休止したから、なおさらである。
ロックをやっていたころは何がしかに対して反発精神があった。
ロックやパンクはそもそもそういうものだ。それがもはやない。
今後何かに怒りを爆発させるようなことがあれば、爆音のロックかパンクバンドでも組んで社会へメッセージを送ることになるかもしれない。その時はボーカルもとるのかもしれない。叫びたいだろうから。

小説に関しても、「バタフライダンスにSAYONARA」の途中ぐらいからだったか、その後の「痴恋」は初めからここでじっくり書き何度も何度も推敲することができ、おかげでだいぶ成長したと自信を持っていえる。
なんなら拙著を未読のかたは、それ以前の「夕焼けとにょろり」や「無理矢理な人たち」などと読み比べてみてほしい。
如実にわかるはずだ。
以前の作品を駄作と言っているわけではない。
単なるセールスだ。

ま、冗談はよして、
過去作品にもそれらのカラーがあり、書いた当時の味があり、心の揺動があり、自信を持って送りだしたものである。
自分の作品を否定しているようでは買ってくれた方々にも申し訳ない。
なので、それぞれ面白い内容の小説ですので、ぜひ!
つまりは、セールスであった。

思わず長くなってしまった。
気づけば語りはじめていた。
セールスまでしてしまったではないか。
ではこのへんで。
ご理解のあるオーナーさんと管理会社さんには心から感謝です。
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