2011/08/20
12:17:41
土曜、朝。曇り。
ゴミを捨てに部屋を出たら、
ゴミを捨てに部屋を出たら、
あーらーーーー、まーーーーーー、とハモる女性たちの歌声がいい具合にエコー感を帯びてどこからともなく響いてきた。ハンガリーだとかアイルランドかどこぞの民族音楽のようでおそらくそれは四度の和声でバグパイプもほしいくらいだったのだけれども、それに自分のマンションは音楽家用で一階は小さなホールとなっているため敷地内で歌のウォーミングアップをしてる光景は見かけるのでおそらくそれだろう全く忍びないおばはんどもだと察したのであるが、おっくさんっひさしぶりぃぃーー、とその後に続きしかも隣接するマンションの廊下からだと判別し、ただただ偶然に遭遇したおばはんどもの挨拶がマンションの廊下のおかげでホールの臨場感をかもしだしただけだと悟ったのだが意外と美声であったため、はてはて奥さん付かぬ事を御訊きしますがかつてクラシックの発声法よもやベルカント声法を学んだ経験をお持ちではあるまいかと余程たずねようかと思ったがやめておいた。
ようやくゴミ捨て場にたどりついた。
大量のゴミを回収ボックスに放り込み蓋を閉じると、何かひらひらひらとイチョウの葉っぱのように舞い降りてくる。
蝉の翅だった。まだらの茶色。アブラゼミの。
小さかったのでそれは蝉の2枚か3枚重なった翅のうち下のほうのだと思う。
翅の付け根には肌色のマーブル状態なのがどろりと付着していた。生々しい蝉の肉片。
あるいは醤油なぞをつけると意外と小さな貝類の刺身のような食感なのかもしれないがともかく、その付着した肉片が重石となって翅を旋回させながら落下させたのだろう。
見上げると淀んだ灰色の空に電線が架かっているのみ。カラスの遠声がどこからともなく。少し遠くの電信柱にカラスが数匹とまっていた。
部屋に戻った。
捨てわすれたゴミ袋を見つけしかたなく再び捨てにいった。
近くにもう一枚、大きめの同じく茶色の翅が落ちていた。
それには肉片がなかったから時間差で舞い降りて来たのだろう。
ときどき道ばたでこんなふうに蝉の翅だけ見かけることがあるが、それはカラスの餌食となってしまった蝉たちの残骸だったのだなとようやく気づいた三十路の夏。
ようやくゴミ捨て場にたどりついた。
大量のゴミを回収ボックスに放り込み蓋を閉じると、何かひらひらひらとイチョウの葉っぱのように舞い降りてくる。
蝉の翅だった。まだらの茶色。アブラゼミの。
小さかったのでそれは蝉の2枚か3枚重なった翅のうち下のほうのだと思う。
翅の付け根には肌色のマーブル状態なのがどろりと付着していた。生々しい蝉の肉片。
あるいは醤油なぞをつけると意外と小さな貝類の刺身のような食感なのかもしれないがともかく、その付着した肉片が重石となって翅を旋回させながら落下させたのだろう。
見上げると淀んだ灰色の空に電線が架かっているのみ。カラスの遠声がどこからともなく。少し遠くの電信柱にカラスが数匹とまっていた。
部屋に戻った。
捨てわすれたゴミ袋を見つけしかたなく再び捨てにいった。
近くにもう一枚、大きめの同じく茶色の翅が落ちていた。
それには肉片がなかったから時間差で舞い降りて来たのだろう。
ときどき道ばたでこんなふうに蝉の翅だけ見かけることがあるが、それはカラスの餌食となってしまった蝉たちの残骸だったのだなとようやく気づいた三十路の夏。
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