2018/02/22
17:24:52
第三の絶望到来。
とはいえ今や私には一縷の望みが
雲間から差す光のように降り注いでいる。
iPhoneだ。
警察に行く。
はたして、まさしく自分のであった。
さあ、これで二段階認証のパスコードをここに送ってもらえればロックの解除、iPhoneを探すアプリの復活!iPadを発見!
美しい流れだ。
が、iPhoneは使用停止処置されている。
ガラケーでソフトバンクに電話、解除してもらうが10分か15分後に再起動してください、と。
そうした。
無事復活!
ロック解除!
iPhoneを探す、始動!
出た!
渋谷にある。
しかし、店ではない。近いが。
と、ズームしていくと、どうやら風俗やラブホのある界隈。
はて、もしや……。
派手に酔って風俗にでも行って忘れてきたのか?
女の子といちゃいちゃしてた記憶はまるでないがまさかラブホ??
それとも「オニイサン、マッサージ、ドデスカ?」とかいう姉ちゃんの店?
ともかく、行ってみないことには、戻るのも戻らない。
もう12時に近い。電車での往復は無理。
自転車で現場に向かう。
「iPhoneを探す」アプリに表示されている地図を拡大しながらどんどん近づいていく。
まさしく風俗店やらラブホが乱立する界隈。
歩みを進めると、どうやら普通のマンション風なところにたどり着く。
一瞬安心したがしかし、すぐに別の心配も立ち上がる。
つまり、この辺に住むキャバ嬢か風俗嬢かホストか風俗店経営者かとにかく一筋縄ではいかない業界の人物が拾ってひとまず自分の部屋に持ち帰っているのかもしれない、と。
「iPhoneを探す」では、遠隔でアラームを鳴らし「見つけてくれた方はこちらの電話番号にお電話ください」みたいな文言をそのiPhoneなりiPadなりに表示させることができるというので、やってみた。
どこかで鳴っているはずだ。
とてもうるさい音らしいから、近くなら聞こえてもおかしくはない。
何度も執拗に鳴らしてみる。
これは、しつこくすることで、盗んだひと(拾ってくれた人なら申し訳ない)がそのまま所持しておくには耐えられない状況をつくるためでもある。
それに深夜12時を回っているので、その今現在所持している誰かは自分が耐えられない上に近所迷惑にもなるのでなんとかしようと思うはずである。
と、そこへ自分の電話が鳴った。
見知らぬ番号である。
「カメラマンの◯◯ですが、、」
昨日撮影していた方で、打ち上げ会場の忘れ物で預かってたiPadが鳴ってそこに表示された番号に電話してくれたのだという。
瞬時にして自分の視界が晴れ渡った。
いかがわしいドロドロな人間に悪用されてはいないかと不吉な心配しかしていなかったが、すっかり消え去った。
しかし場所はちょっと違うという。
ブロックがひとつ隣にまたマンションがあり、そこが事務所で仕事をしてたそうで、下で待ち合わせる。
(昔からバンドのライブでこの界隈はよく来ていたが、意外にもマンションが普通に立っていることに今更ながら驚く。)
カメラマンさんは気さくな表情で降りてきてくれた。
iPadや書類を入れてたカバンやマフラーもすべて揃っている。
普段あまりテンションの昂揚しない自分としては最上の高ぶりでもってお礼を述べた。
なにしろ絶望度合いが近年まれにみるレベルだったので、テコの原理とでもいうのか、ガクンと喜びマックスへと大きく感情が揺さぶられ、発する言葉もいつもの亀のようなのんびりさからウサギのごとくぴょんぴょんけたたましく駆けるようにしゃべったように思う。
あるいは、お礼を言いすぎてウザイやつだったかもしれない。
何はともあれ助かった。
帰り道、ふと、カバンがとても重いことに気づき
中を見てみると、なぜかラベルもない真っ黒いボトルが2本もある。
ドロドロと液が垂れた跡もある。
まあいい帰ってから確認しよう。
先輩ギタリストにも見つかった報告を入れる。
すると、打ち上げ会場から帰る折り、マネージャーが忘れ物をまとめて預かったのだが、いったん会場から近いそのカメラマンの事務所に置かせてもらい、その後バンドの事務所へ持ち帰ったはずが僕のカバンだけそこに忘れてしまったらしい。
つまりは、忘れ物のダブルプレーとなっていたわけである。
完全な安堵の到来。
どっと疲れが来た。
しかし帰りの自転車で浴びる風がとても気持ち良かった。
家に着く。
異様ないでたちの真っ黒いボトルのことを思い出す。
ひとつ開けてみる。においを嗅ぐ。
日本酒だった。
おそらく樽酒が相当あまって、皆でボトル詰めして帰ったのだろう。
ちろりと舐めてみると、昨夜の宴のざわめきが脳裏を一瞬かけ巡った気がした。
なぜか香梅堂の鈴焼きもカバンに入っていた。
(地元、和歌山新宮の名店でお土産で有名なお菓子)
誰かが持ってきていたのだろう。
なつかしい。
自然と笑いがこぼれた。
シャワーを浴び、横になるとすぐに眠りについた。
反省、猛省、もうしません。
と自分に言い聞かせるもしばらくしたらまた泥酔して何かしら紛失する、というこの20年来のパターンなんですが、今回ばかりは本当に反省したのです、ってのも何度も言ってきてると思ってるけど本当に今回ばかりは!とか言ってる自分は友人知人に「一生のお願いだから・・・」と軽く何度も何度もお願いごとをする奴と同じだろうな、それは痛い、アカンではないかと思い、気を引き締めている今日この頃です。
(了)
ではまた。
とはいえ今や私には一縷の望みが
雲間から差す光のように降り注いでいる。
iPhoneだ。
警察に行く。
はたして、まさしく自分のであった。
さあ、これで二段階認証のパスコードをここに送ってもらえればロックの解除、iPhoneを探すアプリの復活!iPadを発見!
美しい流れだ。
が、iPhoneは使用停止処置されている。
ガラケーでソフトバンクに電話、解除してもらうが10分か15分後に再起動してください、と。
そうした。
無事復活!
ロック解除!
iPhoneを探す、始動!
出た!
渋谷にある。
しかし、店ではない。近いが。
と、ズームしていくと、どうやら風俗やラブホのある界隈。
はて、もしや……。
派手に酔って風俗にでも行って忘れてきたのか?
女の子といちゃいちゃしてた記憶はまるでないがまさかラブホ??
それとも「オニイサン、マッサージ、ドデスカ?」とかいう姉ちゃんの店?
ともかく、行ってみないことには、戻るのも戻らない。
もう12時に近い。電車での往復は無理。
自転車で現場に向かう。
「iPhoneを探す」アプリに表示されている地図を拡大しながらどんどん近づいていく。
まさしく風俗店やらラブホが乱立する界隈。
歩みを進めると、どうやら普通のマンション風なところにたどり着く。
一瞬安心したがしかし、すぐに別の心配も立ち上がる。
つまり、この辺に住むキャバ嬢か風俗嬢かホストか風俗店経営者かとにかく一筋縄ではいかない業界の人物が拾ってひとまず自分の部屋に持ち帰っているのかもしれない、と。
「iPhoneを探す」では、遠隔でアラームを鳴らし「見つけてくれた方はこちらの電話番号にお電話ください」みたいな文言をそのiPhoneなりiPadなりに表示させることができるというので、やってみた。
どこかで鳴っているはずだ。
とてもうるさい音らしいから、近くなら聞こえてもおかしくはない。
何度も執拗に鳴らしてみる。
これは、しつこくすることで、盗んだひと(拾ってくれた人なら申し訳ない)がそのまま所持しておくには耐えられない状況をつくるためでもある。
それに深夜12時を回っているので、その今現在所持している誰かは自分が耐えられない上に近所迷惑にもなるのでなんとかしようと思うはずである。
と、そこへ自分の電話が鳴った。
見知らぬ番号である。
「カメラマンの◯◯ですが、、」
昨日撮影していた方で、打ち上げ会場の忘れ物で預かってたiPadが鳴ってそこに表示された番号に電話してくれたのだという。
瞬時にして自分の視界が晴れ渡った。
いかがわしいドロドロな人間に悪用されてはいないかと不吉な心配しかしていなかったが、すっかり消え去った。
しかし場所はちょっと違うという。
ブロックがひとつ隣にまたマンションがあり、そこが事務所で仕事をしてたそうで、下で待ち合わせる。
(昔からバンドのライブでこの界隈はよく来ていたが、意外にもマンションが普通に立っていることに今更ながら驚く。)
カメラマンさんは気さくな表情で降りてきてくれた。
iPadや書類を入れてたカバンやマフラーもすべて揃っている。
普段あまりテンションの昂揚しない自分としては最上の高ぶりでもってお礼を述べた。
なにしろ絶望度合いが近年まれにみるレベルだったので、テコの原理とでもいうのか、ガクンと喜びマックスへと大きく感情が揺さぶられ、発する言葉もいつもの亀のようなのんびりさからウサギのごとくぴょんぴょんけたたましく駆けるようにしゃべったように思う。
あるいは、お礼を言いすぎてウザイやつだったかもしれない。
何はともあれ助かった。
帰り道、ふと、カバンがとても重いことに気づき
中を見てみると、なぜかラベルもない真っ黒いボトルが2本もある。
ドロドロと液が垂れた跡もある。
まあいい帰ってから確認しよう。
先輩ギタリストにも見つかった報告を入れる。
すると、打ち上げ会場から帰る折り、マネージャーが忘れ物をまとめて預かったのだが、いったん会場から近いそのカメラマンの事務所に置かせてもらい、その後バンドの事務所へ持ち帰ったはずが僕のカバンだけそこに忘れてしまったらしい。
つまりは、忘れ物のダブルプレーとなっていたわけである。
完全な安堵の到来。
どっと疲れが来た。
しかし帰りの自転車で浴びる風がとても気持ち良かった。
家に着く。
異様ないでたちの真っ黒いボトルのことを思い出す。
ひとつ開けてみる。においを嗅ぐ。
日本酒だった。
おそらく樽酒が相当あまって、皆でボトル詰めして帰ったのだろう。
ちろりと舐めてみると、昨夜の宴のざわめきが脳裏を一瞬かけ巡った気がした。
なぜか香梅堂の鈴焼きもカバンに入っていた。
(地元、和歌山新宮の名店でお土産で有名なお菓子)
誰かが持ってきていたのだろう。
なつかしい。
自然と笑いがこぼれた。
シャワーを浴び、横になるとすぐに眠りについた。
反省、猛省、もうしません。
と自分に言い聞かせるもしばらくしたらまた泥酔して何かしら紛失する、というこの20年来のパターンなんですが、今回ばかりは本当に反省したのです、ってのも何度も言ってきてると思ってるけど本当に今回ばかりは!とか言ってる自分は友人知人に「一生のお願いだから・・・」と軽く何度も何度もお願いごとをする奴と同じだろうな、それは痛い、アカンではないかと思い、気を引き締めている今日この頃です。
(了)
ではまた。
- 関連記事
-
- 紛失狂騒曲(3/3) (2018/02/22)
- 紛失狂騒曲(2/3) (2018/02/21)
- 紛失狂騒曲(1/3) (2018/02/20)
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
トラックバック