SHINGO 5° TERASAWA blog
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    07:34:11
    ども。
    またまた自己満足にだらだらと今回も長いですが
    よほどお暇な時にどうぞm(_ _)m


    こないだ帰省したことについて書きましたけども、
    こないだに限らず、自分は鈍行で帰省するのがけっこう好きであります。

    交通費をケチってるだけだろと言われると、まあ飲み代1、2回ぶんくらいは浮くわけで有り難き幸せなのでそれも否定しはしないですが、しかしそんなことよりも何より代え難いものがあるのです。

    またこれも、こないだ書いた鑑賞のことにつながってきますが、
    鈍行列車に乗る体験は、新幹線やら特急ですっとばすのに比べると例えば
    小説を速読する人とじっくり味わいながら何日もかけて読む人との違い、と似ていると思う。

    東京ー名古屋間は新幹線では1時間半くらいだが、鈍行では6時間ほどかかる。
    実に4倍ほど。はんぱない。そらケツも痛い。
    将来、私が痔になった時は、この繰り返しのためだと思っていただいてほぼ間違いなかろうと思う。
    あるいはギックリ腰も。頸椎椎間板性ヘルニアも。
    しかしこのなかにドラマがあるのです。

    名古屋まででも、数回乗り継ぎがありますが
    小田原、静岡、浜松、金山…etc 時間帯によっていろいろあって、
    まだこのへんだからそんなに待ち時間はないけれども、その度ごとに土地ごとのカラーが感じられ、方言も微妙に変化しつつあるのがおもしろい。
    若者はだいたい似ているが、おばちゃんやらの年配の人の会話とかは駅が移るごとに変化していく。
    名古屋から三重を下りはじめると、だんだん濃くなってくる。
    三重の半ばからは特に。
    見知らぬおばちゃん同士でも平気で話しはじめる。
    連結が上手くいくときには、ある方言同士の人が座ってて一人が降り、そこに別の人が座ると若干違った方言との交流が生まれ、その後元々座っていた人が降り、そこにまた新たな地域の人が座り、なにげない挨拶から始まるとまたニュアンスの違った方言だったり、とそんなリレーのような光景も時には観られる。

    左側ののどかな海岸線や右側の深緑の山林を眺めながら
    それらに耳を傾けていると、旅情が一層増してくる。

    「にいちゃん、エライ荷物持ってぇ、、どこからきたんな? 実家帰るとこかん?」
    と、ノスタルジーを打ち破られることもある。おっちゃんのダミ声に。
    ノスタルジーを切り裂く脳廃れ爺。そんなダジャレが頭をよぎったがどうでもよくて
    ともかくスーパードライを片手に、話し相手でも欲しかったのだろう。
    僕もビールを飲んでるものだから、特にいぶかしんだりせず、しばし歓談する。
    「音楽やっとる人?ぶいぶい言わしやるんかん?」おっちゃんは僕のギターを見て、赤らんでにやにやしながらそう言う。
    「まあぼちぼちです」
    「どんなんしとるん? ぅろっくんろ~るっちゅうやつか」何故か舌を巻きまくりながら嬉しそうに言う。
    「あーそうそうっ、そんな感じですっ」けっこう適当に答える。
    「わしらもなー、昔は歌いまくっとったわ。どこのスナック行てもよ、ママらぁ皆メロメロやったんやでえ…云々」
    おっちゃんの駅につく。おっちゃん、去る。

    そんな愛想よきおっちゃんの後姿を見送りながら話を戻すと、
    そもそも旅についての考えかたが、むかしと今ではだいぶ変わってしまったように思う。
    というのも、昔は旅といえば目的地で楽しむのはもちろんだけど、その道のり自体を楽しんでいて、それが豊かなインスピレーションの源となっていた。

    芭蕉の俳句も北斎の絵も、そんな旅路で出会う諸々の何気ない印象があってこそ生まれたはずだ。
    まさか松尾芭蕉が新幹線で東京ー青森間、4~5時間の旅中に「月日は百代の過客にして…云々」などと書き出しはしないだろうし、そんななか「奥の細道」なんてタイトルもありえないだろう。
    どこも細くねーし、道ひらけまくってるし、みたいな。

    葛飾北斎の「東海道五十三次」などにしても、東海道新幹線「こだま」に乗って各駅ごとにデジカメで瞬時に風景を納めたところで、せいぜい16枚だ。
    ※ちなみに、五十三次とは江戸から京都までの宿場のことをいうらしく、東京ー京都間の「こだま」停車駅も調べたところ16駅であった。
    (自分はけっこう多忙なはずだが実は暇人なのかもしれないとこの瞬間思った)
    ゆえに、53次ぶんの16枚。
    いささかわびしい。


    まあ今のは極端なたとえだけども、
    ともかく現代は目的地にいかに素早くいってそこで何をするか、しかない。
    しかも、旅行先といっても、海外なら別だが、日本国内となるとどこに行っても同じようなデパートやコンビニ、ファーストフードがあるし、名産を食べると言っても東京に住んでれば全国のほぼどんな名産品でも食べられるので、今時何を食べても珍しかったり衝撃的だったりすることはない。
    (むろん、実際本場でしか食べられない名産品もあり
    それらの味はまた格別だけれど。)

    街をぶらぶらする時でもそうだが
    車で移動するときと比べ、自転車だと見える光景がまったく違ってくる。
    街の細部がよく見える。歩きとなるとさらに細かに。
    道ばたに咲く花や、そこに戯れる虫たち。
    アジサイの葉っぱの上のカタツムリ。
    あるいは道ばたの乾いた塩辛のようなナメクジや、干からびかけたミミズに群がるアリの大群。
    上空ではカラスだかトンビだかの優雅なグライディング。
    そんなことよりも前に眼前に浮かぶほこりが。
    ゆらいでただよう。
    顕微鏡でみた微生物のように。
    追ってもおっても離れてゆく。
    眼球に何年も張りついている愛着ある半透明の脈。

    トンボらが、無駄とは知らず明日には消える水たまりに産卵する光景。
    秋や冬には、枯れ草のくすんだ質感や、木枯らしに舞う落ち葉。
    くすんで灰色がかった白壁。
    雪についた足跡。誰かがやってきて何度か足ふみして戻っていったような跡。
    明らかにすべったと思われるまるで現代書家のタッチのような豪快な靴の痕。

    そして匂いも。
    蕎麦屋からただようダシの匂い。
    ラーメン屋のとんこつの臭み。
    昼間は眠る路地裏のスナック街にただよう、小便臭い、すえたような酸味。
    そんな街で明け方にすれ違う女のいかにも華やかな匂い。
    夢幻の残滓。
    上辺だけの、ふりかえるともうその姿も見えないような、薄い存在。
    公園や川辺などの花や草いきれの匂い。
    かと思えば、そんな緑に囲まれたベンチで
    どこを観ているのやら愁いの眼差しで一服する老人のタバコの煙。
    時には犬の糞尿のにおいがそれらに混じることもあるが、絶妙な調和が感じられる。
    やわらかなグラデーションが。
    ゆるやかな流れに墨をたらして滲んでゆくような、おだやかな浸透が。
    ガソリンスタンド近くでは酩酊と憧憬が。
    真夏の午後、アスファルトから漂ってくる熱気の匂いも独特。
    雨後は特に。


    心の時間軸を変えるだけで、世界の見え方が変わってくるように思う。
    もしくは、視点を常に俯瞰、鳥瞰的なヴィジョンにするとか。
    というのも、夢などは自分が観ているにもかかわらず、その画面には何故か自分もいて
    少し遠目の視点を持って誰しも映画のように自分を観ているから。
    (フロイトだか、E・フロムだか精神分析学者の何かの本でも書いていた…はず。)

    ようするに、視点の距離や間隔、マクロかミクロの捉え方でだいぶ世界が変わって見えて
    いろいろと楽しめるのではないかということでした。


    ではまた。

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    プロフィール

    寺澤晋吾(5°)

    Author:寺澤晋吾(5°)
    汎創作家。

    [音楽関連]
    ロックバンド fade [2002-2014]
      のギタリスト。現在無期限活動休止中。

    [美術関連]
    2002年頃より、カフェやギャラリーで展示を開始
    2011年『第44回かわさき市美術展』入選
    2012年『第45回かわさき市美術展』優秀賞
      2016年 10月『三人展』@ギャラリー国立
      2017年2月『個展』@ギャラリー国立
        3月『グループ展』@ギャラリー国立
        4月『第65回光陽展』入選

    [文筆関連]
    下記5作品を電子出版
    2008年『夕焼けとにょろり』
    2008年『七日目の蝉』
    2010年『無理矢理な人たち~この素晴らしき世界~』
    2014年『バタフライダンスにSAYONARA』
      2016年『ラバープラネット』

      「寺沢ごど」としてエッセイも3作品、電子書籍で発売中。

    カテゴリ
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    小説
    小説/エッセイ等、8作品を
    発売中。(電子書籍のみ)

    【エッセイ集】

    『奇人たちの黄昏れ 〜都会の隅の見聞録〜』
    奇人たちの黄昏れ
    108円(税込)

    『不器用な真実 〜なんでこうなるかな日記〜』
    不器用な真実
    108円(税込)

    『生乾きの日々 〜平熱と迷走の狭間で〜』
    生乾きの日々
    108円(税込)


    【小説】
    『ラバープラネット』
    ラバープラネット
    324円(税込)

    『バタフライダンスにSAYONARA』
    バタフライダンスにSAYONARA
    540円(税込)

    『夕焼けとにょろり』
    夕焼けとにょろり
    324円(税込)

    『七日目の蝉』
    七日目の蝉 表紙
    324円(税込)

    『無理矢理な人たち
    ~この素晴らしき世界~』
    無理矢理な人たち
    432円(税込)
    fade CDs

    『Crossroad ~History of fade~』
    Crossroad
    ■DX盤 [SHM-CD+DVD]
    ¥3,600(w/tax)
    ■通常盤 [CD]
    ¥2,500(w/tax)


    『天 ~TEN~』
    Ten
    ■DX盤 [CD+DVD]
    ¥2,880(w/tax)
    ■通常盤 [CD]
    ¥2,469(w/tax)


    『Kings of Dawn』
    Kings
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    『Age of Innocence』
    Ageof
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    『To Find A Better Tomorrow』
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